前に進むには過去へ戻る事。ーワンダとビジョンー

「前に進むには、過去へ戻ること」

「誰かを亡くして悲しいのは、それだけ愛を貫いたという証拠」

 

最新話の「ワンダとビジョン」で、心に響いたセリフだ。

 

「前に進むには、過去へ戻ること」

過去に起きた悲しい出来事、辛い出来事は目を背けても消えない。無かったふりをして生きていても、苦しみは心の中を蝕み続ける。臭いものに蓋をしても、臭いものはそこにあるのだ。

だから過去と向き合い、その苦しみを受け止め、心の中から解き放つ。

 

けれど過去と向き合うのは勇気がいる。思い出すのが苦しいから蓋をしているのに、自らその蓋を開け、苦しみを味わわなければならない。見たくない現実を直視しなければならない。

この様に、過去と向き合うのがいかに困難かは想像に難くないだろう。 

 

しかし受け止められなかった苦しみは、苦しみの形をしたまま心に留まり続ける。心の一部が苦しみの住処になってしまうのだ。そうなると、喜びを感じてもどこか苦しくて、普通に生活をしていても息苦しさを感じてしまう。

 

その息苦しさを解消するためには、苦しみを受け入れる必要がある。つまり、過去と向き合うのだ。 ただ坦々と起きた事実を振り返り、自分の内に閉じ込めていた事を直視する。住処になっている心の中から、外に解き放つのだ。

 

 

受け入れるには時間がかかる。最初は拒否反応が出るかもしれない。認めたくないから。

蓋をする事でどうにか生きてきた人は、現実に耐えられないかもしれない。自分は平気だと思い込んでどうにかやってきた。けれどそれは幻想で、本当は平気ではないと気付いてしまうから。現実が重すぎるから。受け止めきれない出来事が多すぎるから。

 

だから受け入れるのに数年かかっても良いし、全部を受け入れられなくても良いと思う。